陽の章 五禽戯


9 五禽戯の必要性

 
 首が凝ったり、肩が痛くなったりしたことのある人は(きっと読者のほとんど全員ではないでしょうか)必ずコリは後ろ側です。首の前面や胸が凝る人はいません。

 腰も同じです。腰痛は後ろ側でしょう。腰椎が反りすぎているとその部分に体重がかかり、腰椎の2・3番目あたりの椎骨がずれ、腰痛になるのです。

 その原因は体の後ろ側が「陽」ではなくて「陰」になっているということです。つまり、本来「陽」で、伸びているはずの場所が、直立して生活することによって、縮こまりやすくなってしまったのです。

 逆に、体の前面は緩みやすいのです。いつも口をポカンと開けている人は「知脳」に問題があります。もしそういう傾向があれば、今からでも遅くありません。意識して口を閉じ、首の後ろを伸ばすように心掛けなければいけません。

 お腹も緩みやすく、そのままで生活していると、胃や腸の下垂が進み、消化能力に異常が起こります。

 ここに五禽戯エクササイズの価値があります。「動物の動き」を真似る大きな目的は、人体の後ろ側を動物のように「陽」にすることなのです。

 五禽戯のすべての動作に共通する姿勢は、両ひざをやや曲げた中腰姿勢です。この姿勢をとることによって、人体の後ろ側がしっかり伸び、本来の「陽」の状態になるのです。

 この右のイラストの形はどこか「けもの偏」に似ているとは思いませんか?


 
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